発達障害はうまれつき? 職場での理解と上司・本人が取るべき対応策とは

query_builder 2025/06/04
発達障害はうまれつき? 職場での理解と上司・本人が取るべき対応策とは
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発達障害は生まれつきの脳の特性とされています。本記事ではその特性や、職場での具体的な対応策を本人・上司それぞれの立場からわかりやすく解説します。対処法を知って、より良い職場環境づくりに活かしましょう。


発達障害が「生まれつき」とされる理由

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「発達障害は生来のものですから、困難や問題は多少なりとも子ども時代からありました。」(市橋、2022)とあるように、発達障害は生まれつきのものです。その証拠に、発達障害の方にヒアリングしても、「特に何かトラウマとなるような事柄はなかった」とおっしゃいます。さらに、発達障害は、子供の頃は軽度のものが多く、周りと比べても違いが目立たないため、そのままにされ、大きくなって、社会から求められることが多くなり、それにうまく応えられない というところで気づくことも多いです。そして大人の発達障害の方は、さまざまな症状に苦しまれ、7人に1人の割合でいるとされています。




発達障害の症状の種類(ADHD、ASD、LD)

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発達障害は、次の3つの症状のうち一つが発症、もしくは複数が発症する場合があります。




ADHD(注意欠如・多動性障害)

次の4つの症状が単体もしくは複数が併発して起こります。


・多動性:静かにしていなければならない場面で、体をゆらゆら動かしたり、突然席を立ったりします。


・興奮性:上司や同僚と簡単なことで衝突してしまったり、なにかちょっと言われただけですぐにキレたりします。アルコール依存・ゲーム依存・ギャンブル依存なども、この興奮性が原因とされています。


・不注意:ミスが多かったり、片づけができなかったりします。大人の女性に多い症状です。


・衝動性:無秩序・無計画で、仕事の段取りができない。仕事には優先順位があるはずだが、自分の好きなことをしてしまいます。



ASD(自閉スペクトラム症)

軽度のものは、アスペルガー障害といい、重度になると自閉症とよばれます。その症状を持つ方が連続的に存在しておられることから、連続(スペクトラム)という言葉があてられています。次の3つの症状が単一で、もしくは複数現れます。


・コミュニケーション障害:言わなくてもいいことを言ってしまったり、相手の気持ちが分からないまま発言してしまったりします。


・イマジネーション障害:作業をイメージすることがうまく出来なかったりします。そのため、並列処理などは難しいことが多いです。


・同一性の保持:靴箱の同じところに、いつも自分の靴が入っていないと落ち着かない といったように、いつも同じであることを良しとする傾向が見られることがあります。同じ作業の繰り返しの職人作業などに向いている時があります。



LD(学習障害)

聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する の能力のうち、1つか2つに支障をきたしているものです。読字障害などがそれにあたります。学生の頃は、間違いの多い子で済みますが、社会に出てからは、厳しい目が向けられることも多いです。



発達障害の方が実際に職場で直面している現実とは?

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発達障害はうまれつきであり、本人が気づかないうちに発症します、だから、本人は、「自分には非がない」 と思いたいのが本音です。しかし、社会的にみると、「何度言っても、治してもらいたいところが治らない」「仕事を覚えてくれない」「コミュニケーションができない」など、上司からみれば、ストレスに感じることが多いのも確かです。そのため、職場でも、発達障害の方は上司から小言を言われる毎日の方が多いのが現実かもしれません。上司の方の中には障害に十分な理解もあり、発達障害を持つ部下に無理なことをさせず、少しずつ出来る事を増やしていって下さる方もいらっしゃいます。しかし、競争社会の世の中、どうしても、そこまでの余裕が持てず、つい叱責してしまう方が多いのではないでしょうか。また、その叱責に耐えつつ、必死に一日、一日の仕事をこなしてやっていっているのが、発達障害の方が実際に職場で直面している現実ではないでしょうか。




発達障害の方の心理とは?

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発達障害の方の成長過程

発達障害は、小さなころは、周囲に溶け込んで目立たないため、本人も周りも気づかない。だから、小さい頃は、ほとんど生活にも心理的にも支障はない。しかし、だんだん大きくなるにつれ、こころの成長が周囲に追い付かず、周囲から置いていかれるような感覚を感じるようになる。そして、何か技術を身に付けるにしても、うまくいかず、そのこともあいまって自信がもてなくなってしまう。それが態度にあらわれ、いつもビクビクしているような心理状態となっていく。なにかしら、遊び程度のことなら出来るかもしれないが、本格的にプロの技術を ということになると、尻込みしてしまい、周囲に流されて生きていってしまう。本当に自分が何がやりたいか を考える余裕もないのが実情である。



発達障害を持っていても自己実現欲求はある

発達障害の方が、自分が他人よりも劣っていると感じていても、人には自己実現欲求とよばれる、何者かになりたい と強く思う欲求があります。それを無理に諦めるのも、あまり良いこととはいえません。何かになろうと努力し、すこしでもその分野で社会に貢献できるようになることは、生きる という行為の中で、最も崇高なものの一つです。そのためにも、障害による壁を少しでも取り除く努力が必要です。このことに関しては、後ほど、「本人の発達障害への対処法とは?」で詳しく説明します。



職場における上司の対応法とは?

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職場において、障害者雇用などにより、発達障害の部下を持つことになった場合、上司はどう対応すればいいでしょう。ここでは、そのことについて述べます。




本人の出来る仕事を与える

発達障害の方は、コミュニケーションが苦手で、臨機応変に対応するのが苦手な方が多いです。ですから、ルーチンワークなどの単純作業を、全体の作業のなかから切り出して与えてあげるのがいいでしょう。いきなり、コミュニケーションが多く必要な、創造的な仕事を与えてもうまくいかないばかりか、本人が萎縮し、やる気を失ってしまうでしょう。


そして、重要なことは、もしうまくいかなくても、本人を責めないことです。発達障害を抱えている方は、自分に自信があまり持てていませんが、それでも社会に貢献しようと、必死に仕事をしようとしているのです。そのことを意識して、ミスをしても、「ミスは誰にでもあるよ。なるべくミスしないように注意しようね」と言ってあげましょう。


本人の成長のために、徐々に仕事の難易度を上げていくことも大事です。それ以上に、発達障害を克服する努力を促すことも重要です。「本人の発達障害への対処法とは?」で、克服法について触れますので、参考にして下さい。



決して、本人を責めたてたりしない

本人が、うまく仕事が出来ない、仕事を覚えることが出来ない、コミュニケーションがうまく取れない。などのことがあっても、決して責め立てたりしないでください。本人が萎縮して、ますます仕事に集中できなくなるばかりです。長い目で見守ってあげる姿勢を持ちましょう。上司の方には、部下を励まし、勇気づけてあげる義務があります。発達障害はうまれつき と言われますが、決して治らない症状ではなく、処置の仕方によって、治るものです。温かく接してあげれば、いつかそのことがいい方向に向くきっかけとなるでしょう。




本人の発達障害への対処法とは?

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まず、発達障害であることを認識する

発達障害への対処は、まず、自分が障害を持っていること(症状をもっていること)を認識するところからはじまります。メンタル的に不調を抱えていても、人は、「自分は大丈夫だ」と思いがちです。そして、周りと比較して、仕事のペースが遅すぎたり、コミュニケーションを取るのが著しく難しいと感じていても、「どうにかなるだろう」程度にしか感じないものです。特に、それで問題がなければいいのですが、とくに繁忙期や、自分で全てをこなさなければならなくなった時など、急にどうしようもならなくなることがあります。ものすごく困った状況におかれるときがあります。そういったときは、前々から薄々感じてはいたけれど、もしかして自分は発達障害ではないか? と疑ってみましょう。そして、その時は、まずは診断を受けてみましょう。発達障害は、専門の医師のみが診断できます。WAIS(ウェクスラーによって開発された成人向け知能検査)とWISC(5歳から16歳までの児童を対象とした知能検査)という検査の2通りがあります。検査は、予約が必要な場合が多く、また、金額もそれなりにかかります。保険のきくところもあります。診断してくださる病院などの情報を教えて下さる発達障害支援センターに相談してみるという手もあります。




自分は発達障害を持っているという自覚のもと行動する

もし、診断の結果で、発達障害であることが分かれば(もしくは、グレーゾーンであることが分かれば)、自分は発達障害の症状を持つ(その傾向のある)人間なんだという自覚をもって行動するようにしましょう。特に、発達障害は、外見上は、普通の人となんら変わらないため、本人もあまりその意識を持ちづらいです。しかし、そのままではいけません。まず職場の上司に話し、発達障害の人に適した仕事の配分をしてもらいましょう。これは、職場における上司の対応法とは? に記載しました。そして、次に、発達障害を克服するための努力をしましょう。それは、ソーシャルスキルトレーニング(SST)といった、治療プログラム(まだあるところは少ないですが)をもつたとえば、当カウンセリングルームで支援を受けるといったことです。当カウンセリングルームでは、発達障害の克服経験を持つカウンセラーが、1対1で、クライエントの発達障害の方と向き合い、「記憶のチェック」「イメージトレーニング」「絵本読み」「楽器演奏を始めとした様々な技能訓練」といった効果的な治療を施します。




まとめ

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発達障害は、昨今、急速に社会に認知が進んだ症状です。対応してくれる機関も増えており、以前に比べて、発達障害者に対する理解は深まっています。しかし、まだまだ、その道の途上であり、本人が発達障害で本質的には苦しんでいる ということは、あまり意識されておらず、発達障害の方は、無理に治す必要はない。と判断されていたりします。当カウンセリングルーム(ハーモニーオブソウル)では、クライエント様が発達障害を克服できるようにすべく鋭意努力いたしております。もし、関心をお持ちでしたら、お気軽にご相談下さい。皆さんの治したいというお気持ちを尊重致します。


■参考文献

「大人の発達障害(生きづらさへの理解と対処)」 市橋秀夫 (2022) 講談社



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