発達障害の大人がキレやすい理由とは?その特徴と対処法

query_builder 2024/10/08
発達障害の大人がキレやすい理由とは?その特徴と対処法
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 この記事では、大人の発達障害における「キレやすさ」の原因や特徴、そして効果的な対処法について詳しく解説します。 自分はキレやすいのでは?自分は怒りっぽくて周りから浮いているのではないか?といった悩みをお持ちの大人の方向けに、今からでも実践できる解決策を紹介するので、ぜひ試してみてくださいね。


発達障害の大人にキレやすい人が見られる理由

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 後でも触れますが、発達障害(特にADHD(注意欠如・多動症))の方の中には、興奮性を持つ方がいらっしゃり、他者と関わる際、怒りが生じやすく、すぐに衝突してしまう ということが往々にしてあります。


 また、発達障害でASD(自閉スペクトラム症)の方ですと、イメージ力が弱いということもあり、こころのキャパシティーが少ないということも挙げられます。コップに擦り切れ一杯に水が入っており、ゆとりがない状態です。そこに何かちょっとした刺激が加わると、キレてしまう ということになってしまいます。


発達障害の大人がキレてしまう場面とは?

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 怒りっぽい人の症状は生活のいろいろな面で出てきます。何か自分の思っていたことと違うことがあると、ちょっとしたことでも気になって怒ってしまう。なんでかよく分からないうちに、上司や同僚とすぐに対立してしまう。自分でもよく分からないうちに暴力的になってしまう。などです。


  特に、「怒り」は、親しい間柄の人に向かいやすい という傾向があります。家族や会社の同僚や友人など近しい人に向かってしまうため、下手をすると、仲直りできずに関係悪化が長続きしてしまう ということにもなりかねません。


発達障害の大人に見られるキレやすい特徴

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ADHD(注意欠如・多動性障害)

 ADHDは、発達障害の一症状です。発達障害は、発達期に発症します。しかし、小さい頃は、周りの子と比べてあまり症状が目立たないため、あまり気にされず、大人になって周囲から求められることが多くなって、それに対応できないということとなり、突然、周囲から孤立するという傾向があります。


 ADHDの中には、興奮性をもち、すぐに人と衝突するという傾向がある方がいらっしゃいます。


 ですから、周囲の理解がないと孤立してしまう事も多いのです。

気分障害(そう状態)

 気分障害は一般的にうつ状態とそう状態を合わせたものを考えますが、ここでは特にそのうちのそう状態に着目します。


 そう状態では、精神的興奮がみられ、それが怒りにつながることがあります。

境界性パーソナリティー障害

 この障害は、感情が不安定になります。怒りや焦り、慢性的な空虚感を持ちます。そして孤独に耐えられないといった特徴があります。感情が不安定なため、ちょっとしたことで怒ってしまったりします。


診断と自分の発達障害を受け入れること

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 自分がもし発達障害かもしれないと感じたら、早めに診断をうけることをお勧めします。


 診断というのは診察とは異なり、専門の医師のもと、ご自身の抱える症状が、どういった障害(病気)に起因するものか、その病名を判定してもらうことです。残念ながらカウンセラーには診断はできませんので、ご承知おきください。


 そして、もし診断結果が発達障害ならば、それを素直に受け入れるようにしましょう。


 しかし、受け入れるといってもそんなに簡単に自分の心がそのことを受け入れることは難しいのが普通です。最初はなんとなく「自分は発達障害なんだ」と感じ、そこから、発達障害について知るように努め、「自分が怒りっぽいのは発達障害だったからなんだ」といった具合に現実を徐々に受け入れていくのがいいでしょう。


 それと並行して、カウンセリングなどの治療に取り組むのがお勧めです。


 なお、診断を行う医師の方は、障害の専門家でない場合もあり、間違えることもある ということを付け加えておきます。


キレやすさに対処するための具体的な方法

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 発達障害の治療には、当カウンセリングルームでは、記憶のチェックとイメージトレーニング、そして、絵を描いたり、電子工作をしたりといった諸活動で様々な経験をしてみることを勧めています。また、カウンセリングの一種の認知行動療法を行ったりもします。 一つひとつ見ていきます。


記憶のチェック

 物事を覚え、それを思い出すという行為は、人の基本的な行為です。しかし、これが特に発達障害などのメンタル系の症状をお持ちの人では、うまく出来ないという方が多いのです。かく言う私もそうでした。


 脳の基本的な働きのため、記憶し、それを思い出すという行為が出来るようになれば、脳の活性化につながり、症状の緩和が期待できます。


 私は、全部で60個ぐらいの自分が覚えたいと思う日本語の簡単なフレーズをノートに書きだしておき、一日につき、そのうちの5個ぐらいを思い出すという作業を繰り返しました。


 最初は、全く覚えられませんでした。しかし、徐々に脳が順応していき覚えられるようになり、その後、一日に思い出す個数も30個ぐらいまで増やせました。


イメージトレーニング

 心のなかで、何かをイメージすることも、人の基本的な行為です。しかし、メンタル系の症状を持っていると、イマジネーション能力が無くなってしまっている場合があります。この症状も私は持っていました。


 そこで、記憶のチェックでやっていたフレーズを、今度は、壁に向かって、大きな字を描くように一文字ずつ、さらにその一画ずつ描いていくという作業を行いました。


 これは結構疲れますが、かなり効果があります。イマジネーション能力が回復すれば、心の中に余裕が生まれ、記憶のチェックとの相乗効果で、心がかったつになります。悲観的だった自分の考えが楽観的になってきます。


電子工作をはじめとする様々な経験

 記憶のチェックとイメージトレーニングが軌道に乗ると、次にやるのは、様々な経験を積むことです。


 私は電子工作がやってみたい と以前から思っていたので、それをやってみました。他にも中学数学や、ワード、エクセル、イラストレーターなどもやってみました。


 これらを同時にやったわけではありませんが、あまり難しいことはせず、しっかりと技能を習得して、何も見なくても出来る という状態までは持っていきました。ここまで出来るようになれば、社会復帰する勇気も出てくるでしょう。


 ハーモニーオブソウルでは、これらの技能習得のための技能訓練のコースを設けています。カウンセリングから始めて、技能訓練を行うのもいいでしょう。


認知行動療法

 認知行動療法とは、カウンセリングの一技法です。ある出来事に対して、たとえば怒りという感情を持ってしまうとき、その出来事に対する認知(捉え方)とその出来事に対してとってしまう行動の両面を変化させることによって怒りという感情をコントロールできるものにしていこうとするものです。


 具体的には、「思考記録表」というものを作って、ある出来事に対する自分の認知と行動を分析していきます。非常に効果の高いもので、カウンセリングの現場でよく使われます。


まとめ

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 怒りは、特別な感情ではありませんが、怒りっぽい方はいらっしゃいます。それがどういったメンタル系の症状によって引き起こされることがあるのか? 治療法はどんなものがあるのか? について述べてきました。


 心当たりのある方は、この際、カウンセラーに相談して対策してみませんか。当方のカウンセリングルーム「ハーモニーオブソウル」でもそういったご依頼を喜んでお引き受けいたしております。よろしければ、初回無料のインテーク面接だけでも受けてみられてはいかかでしょうか。オンラインでも対面でも対応いたしております。皆さまのお越しを心からお待ちしております。


■参考文献

大人の発達障害(生きづらさへの理解と対処)(2018) 市橋秀夫 講談社



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