発達障害に効果的な音楽療法とは?カウンセラーが効果と具体例を解説!

query_builder 2024/11/21
発達障害に効果的な音楽療法とは?カウンセラーが効果と具体例を解説!
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 音楽療法は発達障害の方をはじめ、多くの心の問題を抱えている方を快方に導く力を持っています。その根拠や、音楽療法の具体的な方法や改善事例をこのブログで紹介致します。



音楽療法とはどんなものか

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 音楽のもつ心理的なはたらきなどを用いて、人の心の健康を増進させたり、心の病気を回復に導くものです。


 ・心理的なはたらきとはどんなものかといえば、音楽を聴いたり演奏することで、リラックスしたり、明るい気持ちになったり、アクティブになったりすることや、ストレスなどを軽減するはたらきのことです。


 ・どのような効果があるか:つねに陰鬱な気持ちを抱いている方が、明るい気持ちを抱けるようになります。楽器を演奏することを通して、心をかったつにし、コミュニケーション力をつけることができます。


 日本での音楽療法は、民間の資格はありますが、資格がなければ行えないものではありません。アメリカでは、病院などで積極的に音楽療法が取り入れられています、そしてその歴史も長いものがあります。日本人がアメリカで音楽療法の修行をしてくる場合もあります。



音楽療法は具体的にどんなことを行うのか

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音楽を聴く

 同質の原理というものに基づき次のようなことを行います。  悲観的になっているクライエント様に、最初に、心の状態と同質なマイナーな曲調の曲を聴いてもらい、ブルーな気分・郷愁などに浸ってもらいます。人には、もの悲しさを感じ、涙したいという気持ちを持ちたいときがあります。そのとき、短調の曲を聴くことで、その気持ちに寄り添い、深めることができます。


 次に異質の原理というものに基づき次のようなことを行います。  徐々に、心の状態とは異質なメジャーな明るい曲調の曲を聴いてもらい、しだいに気持ちを明るくクリアーなものに変えていきます。音楽の種類は様々で、メジャーな曲と一言で言っても、陽気に歌い踊れるようなものから、応援歌的なもの、鑑賞に適したもの、グルービーなもの、若干のもの悲しさを含むものなど色々です。それらを適宜組み合わせることで、心の持ちように変化を持たせることができます。



音楽を演奏する

 リズミックな演奏体験を通して脳細胞の使われていなかった部分を刺激し、こころをかったつにしていきます。さらに演奏する際のコミュニケーションを通して、社会性を養っていきます。


 楽器の演奏は、十分に脳の活性化をもたらすことができます。体でリズムを感じながら、手先でフレーズを紡ぎだす作業は、脳細胞を刺激します。また、他者とコミュニケーションをとる必要性も生じることから、自然と協調性が養われます。


これらを繰り返し反復して行うことにより、徐々にこころを本来の健康な姿にもっていきます。



発達障害にどう役立つ?音楽療法のメリット

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 発達障害の方は、自分もそうでしたが、記憶力強化とイメージング力強化により、状態を良い方向に持っていける場合があります。


 音楽療法においては、聴いている音楽のメロディーを覚えたり、曲名を覚えたり、実際に演奏する楽器のフレージングを覚えたり、いろいろと覚えていく作業が発生します。それらを最初は、すこしずつ、できる範囲から覚えていきます。覚えられなければ、まず音楽に慣れ親しむことから始めます。そして、慣れてきたところで、印象的なメロディーなどを覚え繰り返して思い出す作業(リハーサル)を行います。こういった作業を繰り返すことで、記憶力が鍛えられていきます。


 そして、それと並行して、イメージング力強化を行います。まずは、漢字の「一」など、簡単なものから始め、頭のなかで、その文字をイメージしていきます。最終的には、楽譜に書かれたフレーズをイメージできるところまで持っていきます。


 これらの作業により、こころの中に空間を作ることが容易にできるようになり、イメージング能力やコミュニケーション能力の回復がはかれます。



発達障害の改善に音楽療法を取り入れる際の注意点

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 音楽療法を用いたカウンセリングに際しては丁寧な指導を心がけておりますが、週一回の音楽療法では効果に限度があります。障害の程度にもよりますが、慣れてきたなら、2日に一度などの割合でご自宅でも曲に合わせて楽器の練習をしてみることが効果につながります。とにかく継続してやり続けることで次第に効果が大きくなっていきます。また、音が出しにくい環境でも小さな音で演奏できる代わりの楽器で代用できることもあります。


 楽器だけでなく、イメージトレーニングや記憶のチェックも、慣れてきたら、カウンセリング時のみでなく、ご自宅で無理のない範囲内で毎日行うことが望ましいです。


 また、発達障害は、一瞬で改善される ということはありません。徐々に改善されていくものですので、あせらずゆっくり確実に行っていくことが大事です。治ったと思っても、それはまだほんの改善の最初の段階であるということが多々あります。カウンセラーとよく話し合いながら、音楽療法をすすめていきましょう。



音楽療法で発達障害を改善できた事例を紹介!

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 実際に、私自身に音楽療法を適用し、発達障害を改善できたときのことを紹介します。


 私は、診断名こそ「統合失調症」でしたが、発達障害の方に多い、「イメージ力不足」、また「自閉症」の症状がありました。


 そこで、まず、記憶のチェックを試みました。記憶のチェックで、自分で覚えたいと思う短いフレーズを30個程度書き出し、それをまずは、15個ずつ毎日思い出すという作業を繰り返しました。最初は、覚えるのも大変、思い出すのにも一苦労でしたが、慣れてくるとだんだん楽しくなってきました。また、出来ると達成感も味わえました。


 これをベースに、次にカホンとドラム(練習台)を二日に一回行うようにしました。カホンは、初めて挑戦する楽器でした。最初こそ、要領がつかめなかったですが、継続して練習するうちに、脳内の神経がつながっていく感覚を覚え、しだいに慣れていくことができました。


 この、脳内の神経がつながっていく感覚こそ、音楽療法の重要なところだと思います。脳内の使われていなかった部分の神経がつながっていき、こころのはたらきがかったつになっていきます。音楽は、連続して奏でなくてはいけないので、瞬時の判断力が求められることもあります。その時の刺激が脳にとっては効果的でした。


 カホンとドラムの練習と並行して、音楽を聴くことも行いました。今では、メジャーの明るめの曲も好きですが、以前は、メンタル不調でもあったせいか、マイナーな曲で浸るようなときが多かったです。そこで、同質の原理より、深く感傷的な音楽をよく聴き、祈るような心持ちになるようにしました。


 その後、異質の原理を用いて、すこしブルージーだけれども明るめの曲を聴き、こころを明るい状態にもっていけるようにしました。


 これらの一連の作業が功を奏して、長年苦しんだ、発達障害の症状を改善させることができました。



まとめ

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 音楽療法は、歴史があり、効果があるメンタル疾患の治療法です。音楽の持つ効用を使い、人の心を健康にしていきます。


 メンタルに不安のある方は、是非、音楽療法を試してみて下さい。当カウンセリングルームでは、カホン(簡単に演奏できるようになる打楽器)を用いた音楽療法をおこなっております。お気軽にお問合せ下さい。



【参考文献】

音楽療法の基礎 村井靖児著 音楽之友社(2022)


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